【第28回】データで見る香港の治安:最新の2025年犯罪統計から読み解くトレンド
全体件数は5.9%減少、香港の治安は安定へ
第25回で香港の治安が良くなっているという話をさせて頂きましたが、今回は各犯罪統計情報を見てみたいと思います。
香港警務処(香港警察)は2026年2月11日、2025年通年の香港の治安状況を振り返る記者会見を行いました。発表された最新の犯罪統計によると、総犯罪件数は89,137件(前年比5.9%減)、暴力犯罪は8,823件(同15.9%減)と、いずれも明確な減少を示しました。多くの主要罪種が軒並み減少しており、香港全体の治安は強固な安定傾向を維持していることが最新データからも裏付けられています。
詐欺件数が2019年以来「初の減少」へ
近年、香港の治安上の最大課題であった詐欺(詐騙)件数は43,212件となり、前年比2.9%の微減を記録しました。これは2019年以降、右肩上がりを続けていた詐欺被害が初めて減少に転じた重要な節目です。警察と銀行業界が連携した「騙案預警(詐欺警告)計画」の強化や、AIを導入した「防騙視伏App(Scameter+)」の普及といった水際対策が一定の成果を上げ始めたと言えます。

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件数は減るも「大型化・高額化」するネット投資詐欺
一方で、楽観視できないのが被害の巧妙化と大型化です。詐欺全体の件数は減ったものの、SNSなどを端緒とする「オンライン投資詐欺」は5,135件(30.7%増)と急増。被害総額は35.8億香港ドル(58.4%増)に達し、詐欺全体の被害額の4割以上を占める結果となりました。1件あたりの平均被害額も、2024年の58万香港ドルから2025年は70万香港ドルへと跳ね上がっており、狙いを定めて多額の資産を騙し取る手口が深刻化しています。
街の変化に便乗する新たなネット詐欺
また、世相を反映した身近な犯罪トレンドも変化しています。大型商業・スポーツ施設「啓徳体育園(Kai Tak Sports Park)」の開業等に伴う大規模コンサートの増加に便乗し、オンラインでの「コンサートチケット詐欺」が2,805件(61.8%増)と激増しました。そのほか、「刷単(インターネット上での単純作業副業)」を謳った求職詐欺やネット通販詐欺も依然として増加傾向にあります。

デジタル空間での防犯意識のアップデートを
物理的な強盗や街頭犯罪が歴史的低水準を維持する一方、犯罪の主戦場は完全に「サイバー空間」へと移行しています。
全体件数の減少という数字の安心感に囚われず、個々人が「投資話やチケット転売への警戒を緩めない」という、一歩進んだデジタル防犯意識を持つことが今まさに求められています。
Mr. イワミ今や現代人に身近なデジタル空間に潜む罠に警戒を!
まとめ
- 総犯罪件数5.9%減、治安安定傾向
- 暴力犯罪15.9%減、歴史的低水準
- 詐欺件数2.9%減、2019年以来初減少
- ネット投資詐欺30.7%増、被害額急増
- チケット詐欺61.8%増、施設開業に便乗
- 犯罪の主戦場はサイバー空間へ移行
<著者プロフィール>
Mr. イワミ
香港とアジアの文化に携わりながら、警備のプロとしてリスクを未然に防ぎ安全を守る仕事をしています。
仕事の合間には街を歩いて香港の環境と状況を観察するのが楽しいです。















