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02:バイリンガル成長における親の役割とは【香港・アジアで育てる!バイリンガル育成論】

今回は、第二言語習得(SLA)について、またバイリンガル教育を専門に研究される、海野彩佳さんによるコラムです。

目次

リキャストを通じて言葉の習得を支えよう

 子どもと過ごしていると、思わず笑顔になる「言い間違い」に出会うことがあります。わが家では、娘がヘリコプターを見て「へりぺとかー!」と言ったのが忘れられません。可愛くて、しばらく訂正できませんでした。みなさんのご家庭にもきっと、そんなお気に入りがあるのではないでしょうか。

お父さん・お母さんは世界一身近な「言語の先生」

 娘が助詞(て・に・を・は・が)を覚え始めた頃、「みーたん(娘)に、ばあばに、ジュースもらったの!」と言ったことがありました。その時、「そっか!よかったねえ、みーたん、ばあば、ジュースもらったのね!」と返しました。

 「違うよ」とは伝えず、さりげなく正しい形を伝える。この誤りの訂正のことを、言語学では「リキャスト(recast)」といいます。きっと多くのお父さん・お母さんは途中でやりと りが途切れてしまわないよう、こんな工夫をしているのではないでしょうか。

 子どもは叱られることなく、自然と正しい表現に触れながら、少しずつ自分の言葉を得ていきます。研究では、このリキャストが言葉の習得に効果的であることがわかっています。

母語である日本語を、家庭の中でどう守るか

 英語や広東語の環境に囲まれていると、家庭での日本語が後回しになりがちです。しかし、家庭は子どもにとって日本語に触れられる数少ない場所でもあります。食卓での会話、絵本の読み聞かせ、寝る前のおしゃべりーそうした時間の中で、親が日本語で丁寧にリキャストを行うことが、子どもの日本語力を支える大きな力になります。

 日本で生活する将来を見据え、「英語が話せるようになってほしい」という願いと同じくらい、「日本語もしっかり育ってほしい」という思いを持つ母親は多いはずです。バイリンガル、あるいはトリリンガルとして育つ子どもにとって、親の何気ない関わりこそ、「先生」の役割を果たしています。

 今この瞬間のわが子の「まちがい」は、最高の学びの種です。香港という多言語環境だからこそ生まれる、子どもならではの言葉の世界を楽しみながら、親子で言葉を育てていきましょう。

次回は、7月23日公開予定です!

執筆者プロフィール

海野 彩佳

大学院在学中、第二言語習得(SLA)を専門に研究。卒業後は高等学校に12年間勤務し、英語教育の現場に立ちながら、指導法をテーマに研修会への登壇も多数経験する。現在は1歳と3歳の2児の母として子育てに奔走しながら、研究で得た知見を日々の子育てや発信活動に活かしている。

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