【第15回】香港の新しい防犯マスコット「Despicable Banana(卑劣バナナ)」
詐欺被害が急増している香港、今日は香港の新しい防犯マスコット「Despicable Banana(卑劣バナナ)」の誕生経緯について、詳しくお話しします。
香港金融管理局(HKMA)公式のこのユニークなキャラクターがどのように生まれたのかをお話しします。
「Despicable Banana」の誕生経緯
2025年3月に、香港金融管理局(HKMA)が詐欺防止のための啓発キャンペーン「Click the Links, Fall for Scams!(リンクをクリックしたら詐欺に遭うよ!)」をスタートさせました。このキャンペーンの主役が、「Despicable Banana」です。一見かわいいバナナの姿ですが、動画では被害者を騙して本性を現し、貪欲な怪物に変身する悪役として描かれています。目的は、オンライン詐欺の危険性をユーモラスに伝え、市民の注意を喚起することです。


名前の由来は広東語のダジャレ
このマスコットがバナナに決まった理由は、広東語のダジャレにあります。広東語でバナナは「香蕉」(hoeng1 ziu1)と発音され、特に「蕉」(ziu1)の部分が、詐欺や病気などに引っかかる様子を表す言葉「中招」(zung1 ziu1)の「招」(ziu1)と発音が全く同じです。つまり卑劣バナナは「中蕉」という造語から生まれたのです。ここからバナナは「騙される」ことを象徴し、一見無害そうな外見が詐欺の甘い罠を連想させてくれます。

卑劣バナナ君パワーで大幅な被害減少を目指す
2025年のデータでは、香港の詐欺被害額が前年比で増加しており、特にオンライン投資詐欺やロマンス詐欺が深刻です。HKMAによると、このキャラを使ったキャンペーンで被害を20%以上減らすことを目指しているそうで、香港金融管理局の本気度がうかがえます。最近は郵便ポストや公共交通機関などでよく見ますよね。卑劣バナナ君の動画は短くて見やすく、エンタメ性もあるので、皆さんもHKMAの公式サイトやYouTubeでチェックしてみてください。
ブドウちゃん(提子ちゃん)も健在
ちなみに、以前ご紹介した香港警察のマスコット「The Little Grape 提子(ブドウちゃん)」は、所属が香港金融管理局(HKMA)とは違い、香港警察(HKPF)所属のキャラなので、置き換えられたわけではなく、今も元気に活動を続けています。先ほど5周年イベントも開催され、詐欺防止の顔として絶賛活躍中です。いつかバナナ君と一緒に登場するかもしれないので楽しみです。
こうしたマスコット達のおかげで、楽しく防犯を学べるのはありがたいですよね。皆さんが香港で安全に過ごせるよう、これからも情報をシェアしていきます。
The Little Grape ブドウちゃんの過去記事はこちら!



甘い罠の裏に潜む危険を回避しましょう!
まとめ
- 卑劣バナナはHKMAの防犯マスコット
- 2025年3月に啓発キャンペーン開始
- バナナは広東語のダジャレ由来
- 詐欺被害額は前年比で増加傾向
- 被害20%以上減を目指す取り組み
- 葡萄ちゃんもHKPFで活動継続中
<著者プロフィール>
Mr. イワミ
香港とアジアの文化に携わりながら、警備のプロとしてリスクを未然に防ぎ安全を守る仕事をしています。
仕事の合間には街を歩いて香港の環境と状況を観察するのが楽しいです。
















