メディポートCTO 堀眞
藤田医科大学卒の臨床検査技師。日本医科大学付属病院で勤務後、青年海外協力隊としてソロモン諸島でマラリア対策に従事。帰国後は巡回健診事業の会社に就職し、香港へ赴任。1999年にメディポートを設立し、健康診断・医療相談サービスを展開。香港の医師グループと提携し、地域の健康管理に貢献している。
【第4回】あなたは痛みを我慢しますか
緩和医療― 痛みや不安をやわらげる
緩和医療あるいは緩和ケアという言葉を聞いたことがありますか?
末期がん患者の疼痛を和らげるために使われるモルヒネ投与が良く知られていますね。
がんに限らず痛みや苦しみ、あるいは不安などをできる限り取り除くことを緩和医療といいますが、無痛分娩や無痛内視鏡検査は一般的にわりと身近です。
無痛分娩― 出産の苦痛を減らす選択肢
出産に際して、少なくとも本人が希望すれば無痛分娩が行われる香港ですが、日本で無痛分娩が行われるようになってきたのは最近のことで、普及にはまだ時間がかかりそうです。
本人が無痛分娩を希望しても夫が絶対に許さないといったケースを聞いたことがありますが、出産に対する考え方が古いままで現代医学の進歩に追いついていない人もいまだにいるようです。
出産の痛みを男性が経験することはできませんが、少なくとも自分の妻の出産については、その著しい苦痛を理解しようと心を寄せる必要があるのではないでしょうか。
なお出産は「お腹を痛めてなんぼのもん」と言った意識が、親世代も含めて一部に残っているようです。
無痛内視鏡検査― 苦しさなく検査を受ける方法
さて、無痛内視鏡検査も痛みや苦しさを除くという意味では同じです。
麻酔薬を使うわけではありませんが、鎮静剤を使ってほとんど寝ているような状態で受診できます。
日本のように検査中にモニターを見て医師から説明を受けることはできませんが、検査終了後にビデオを見ながら説明を受けるので、リアルタイムで受ける説明にそれほど大きな意味はないと思います。それよりも胃の検査であれば、あのゲーゲーとしてしまう耐え難い苦しさゆえに内視鏡検査を拒んでしまうことの方が問題です。
「我慢は美徳」という意識を変えるタイミング
痛みなどの苦痛はできる限り取り除いた方が良いのは確かです。鎮痛剤や麻酔薬を投与するリスクを唱える人もいますが、そのリスクを上回るメリットがあることは誰もが認めることでしょう。我慢を美徳とするような精神文化が現代にも残る日本。そろそろ変化する必要性がありそうです。

必ずしも我慢しなくても良いのです!
まとめ
- 緩和医療は痛みや不安を和らげる医療
- 無痛分娩は徐々に日本でも広がりつつある
- 出産の苦しさに対する共感が必要
- 無痛内視鏡で検査の負担を軽減できる
- 医療の進歩と古い価値観のズレがある
- 我慢を美徳とする考え方は見直し時期
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