香港・湾仔にある詠春拳道場です。葉問(イップ・マン)系の正統派詠春を継承し、「修練を通して礼節や自立心、自信をつけてもらう」ことを念頭に指導しています。
師の志を継ぎゼロから再建

館長の八木佳祐さんは、20歳で香港留学中に詠春拳と出会いました。
「カンフーをやりたいから香港に行きたい」と学生時代から志し、28歳で師・周年發氏に師事。修練を重ねました。
流派の祖となる、葉問氏(イップ・マン、1893〜1972年)は、中国広東省出身の詠春拳の宗師で、近代詠春拳を体系化し広めた人物です。門下からはブルース・リーも輩出しました。実戦性と理論を兼ね備えた指導で知られいます。
3年前に葉問の弟子であった周氏が急逝し、八木さんは「この道場を引き継ぎたい」と決意。一度解散状態になったため、再出発時は生徒ゼロからの再出発でしたが、口コミやSNSで少しずつ仲間が増え、現在は約20人が通います。
師の教えを軸にした三つの信条

礼と精神性を重んじる
師の「周年發十箇条」を今も道場の柱にしています。「先生や先輩を敬うこと」「個人的な恨みを持たないこと」など、武術以前に人としての在り方を徹底します。
実戦性を重視した鍛錬
「武術として身を守れること」を重視します。木人やミット打ちなど地道な反復稽古を重ね、「忍耐が必要」と語ります。華美な演武よりも実力養成を優先します。


段位制度による体系的指導
型は三種に加え、木人・棒・刀を含め計六種。「最低6年はかかります」といい、段位試験では実技と理解度の両面を審査。着実な積み上げを大切にします。
日本へつなぐ詠春拳の系譜
香港で修行を始めたときは、「いずれ日本で詠春拳を広めたい」という思いを強くもっていたといいます。現在は香港で道場を守る立場となりましたが、「何かしらの形で師匠のやり方を日本に伝えられれば」と八木さんは語ります。最近は日本人生徒も増え、「彼らに教えて日本で開いてもらう形でもいい」と視野を広げています。詠春拳とは何かという問いに、「ひとことで答えるのはむつかしい。武術は地道な修練が必要です。修練を通して礼節や自立心、自信をつけてもらえば」と答えてくれました。


