【第13回】香港で時々遭遇する「誰だと思う?」詐欺
香港で散見される様々なタイプの詐欺ですが、こちらのコラムでご紹介することが防犯にもつながるので、より個別に詐欺の手口のお話を共有させていただければと思います。
「オレオレ詐欺」の亜種「誰だと思う?詐欺」
今回は高齢者の方を狙った「誰だと思う?(Guess Who I Am)」詐欺の手口と、簡単な対策をお伝えします。香港でたまに携帯にかかってくる「オレオレ詐欺」の亜種「誰だと思う?詐欺」。アレの仕組みがどうなっているのか気になる読者もいると思いますので、手口の詳細からお話しします。2025年に入っても、こうした詐欺のニュースがちらほら見られますので、まだまだ現役の詐欺で、確認して損はないでしょう。もちろん筆者にも以前かかってきたことがあります。
どんな手口なの?

この詐欺は、英語で「Guess Who I Am」詐欺と呼ばれ、電話で突然かかってきて広東語か英語で「誰だと思う?」や「声が変わったけど、わかる?」という言葉から始まります。「誰だと思う?」と言う言葉に乗せられて、家族や友人の名前を挙げれば、犯人はその家族や友人を装って被害者に信じ込ませ、そして例えば、「おばあちゃん、僕だよ。事故に遭って入院中で、お金が必要なんだ」といった即席の緊急ストーリーをでっち上げ、銀行振込を要求し、あとは我々のよく知るオレオレ詐欺と同様のパターンとなります。
SNSなどから事前に得た個人情報で信じ込ませる
最近の事例では、2025年8月に香港警察が15歳の少年を含む4人を逮捕したケースがありました。 被害者は主に独り暮らしの高齢者で、家族が逮捕されたという嘘で保釈金を騙し取るパターンでした。9月にもティーンエイジャーが関与した一連の詐欺で、110万香港ドルの被害が出たというニュースもありました。若者が関わっていることからSNSや個人情報を事前に調べて被害者の信頼を勝ち取るというマニュアルが出来上がっていると思われ、非常に言葉が巧みです。言葉の壁がある分私たち日本人には遭遇しにくい詐欺ですが、こうした手口があるのを知っておくだけでも安全につながります。

こうした詐欺は誰にでも起こり得ます。少しの注意で守れますが、周りに相談をするクセもつけましょう。
次回は在留邦人がより遭遇しやすいタイプの詐欺を紹介いたします。

少しでも不審に思ったらすぐ周りに相談しましょう!
まとめ
- 電話で「誰だと思う?」と始まる
- 家族名を言うと成りすまし開始
- 緊急事態を装い金銭を要求
- 高齢者が主なターゲット
- SNSで事前に情報収集される
- 周囲に相談する習慣が防犯に
<著者プロフィール>
Mr. イワミ
香港とアジアの文化に携わりながら、警備のプロとしてリスクを未然に防ぎ安全を守る仕事をしています。
仕事の合間には街を歩いて香港の環境と状況を観察するのが楽しいです。

