第4回:香港で転職・失業!? 求職者のリアルな声
「なぜ辞めた?」「どう探す?」香港で働く人々の本音
香港で働く人々のキャリアは、常に変化の波にさらされています。
JobsDBが発表した「HK Jobseeker Salary Report 2025」によると、転職を考えている人は回答者全体の約69%。特に26〜30歳の層では、転職を考えている人の割合は32%と年代別に見たときに最も多い数字となっています。
その理由や背景には、個人の価値観や職場環境、経済状況など、さまざまな要因が絡んでいます。
転職理由トップ3
レポートによると、転職を希望する理由として多かったのは以下の通り:
- 職場環境・人間関係の問題(43%)
- 給与・待遇への不満(37%)
- 過重労働とストレス負荷(34%)
その他、昇進機会の低さを挙げたり、成長機会を模索したいという前向きな理由も見られます。
失業者の求職傾向
失業中の人のうち、約75%が「良いチャンスがあれば、これまでとは違う職種にも挑戦したい」と考えており、積極的に仕事を探している様子がうかがえます。
最近では、オンラインのプラットフォーム活用する人が多く、次いで人材紹介会社を活用するという回答となっています。ただその一方で、「希望する情報にうまくたどり着けない」といった声もあり、仕事探しの難しさを感じている人もいるようです。
転職希望者の心理
「Quiet quitting(クワイエット・クイッティング)」――つまり、必要最低限の業務だけをこなし、それ以上の努力や残業はしない働き方についての質問では、多くの人が「燃え尽き症候群」や「頑張っても評価されないことへの落胆」を理由に挙げていました。また、「成長の機会が少ない」と感じている人も多く、「新しいことに挑戦したい」「スキルを伸ばしたい」といった前向きな意欲も見られました。
特に26~30歳の回答者では、成長できる環境を重視する傾向が強く、単なる疲労や職場への不満だけでなく、「自分を高めたい」という思いが転職の大きな動機になっていることがわかります。
HRエキスパート:JH Partners 杉本光弘さんのコメント

香港の転職市場は、活発で競争が激しいと良く耳にする方も多いと思います。もちろん人によっては1社で長く働かれる方もいらっしゃいますが、日本と比較すると活発である事は事実かと思います。
では、なぜそういう傾向が強いのかと考えた時に、一つの理由として、香港の成り立ちや、歴史的な背景が関わっていると感じています。
イギリスの植民地時代を経て、中国への返還後、一国二制度が確立され、今の特別行政区にいたるまで、激動の時代を歩んできています。根底に、明日はどう変わるか分からない、自分と家族は自分で守っていかないといけないという考えが強く、それが昇進・給与アップ、また新しいスキルや知識経験を得る事への貪欲さ、投資への高い意欲、家族を大事にする文化などに繋がっているように感じます。
【企業担当者へのアドバイス】
企業様は、根底にある違いを理解し、個々の状況や考えにあった対応を検討していく事が、リテンションや採用時の見極めに役立ってくると考えます。
このアンケートにおける転職理由の割合が高かった点、職場環境・人間関係の問題に関しても、様々なケースが考えられます。同じ事が起こらないように、表面だけをみて物事を判断せず、状況によって、採用条件を変える、社内の状況を改善するなどの対策が必要です。
【求職者へのアドバイス】
我々が面談をする際は、候補者の方々には、転職に際して能動的な理由を持って、企業やエージェントに表面上の話だけでなく正直に説明をするのが、チャンスを掴む上で重要なポイントだという事をお伝えしています。また、経験のあるコンサルタントは騙せないという事(笑)、たまたま表面上の話で面談をパスできても、ミスマッチが起こるリスクが高く、双方にとって良い事がないという事などをよくお話しします。
企業、候補者それぞれ、様々な難しい状況に日々直面している事かと思います。その中で、我々の役割は企業、候補者双方の相談役となり、双方にとっての最適解を導き出す事だと考え、これからも日々精進をしていきたいと思う次第です。

まとめ
転職や失業は、誰にとっても不安を伴うもの。しかし、自分の価値観に合った働き方を見つけることが、長期的な満足につながるといえそうです。
- 転職希望者は全体の約69%
- 26〜30歳層が転職意欲最多
- 転職理由1位は職場環境の問題
- 失業者の75%が異業種も視野
- Quiet quittingは燃え尽きが背景
- 成長機会を求める声が多数

上手く時代を読みながら、自分だけのキャリアを追求しよう!
次回は、そんな「働き方の選択肢」について、香港を飛び出す可能性も含めて探っていきます。












