メディポートCTO 堀眞
藤田医科大学卒の臨床検査技師。日本医科大学付属病院で勤務後、青年海外協力隊としてソロモン諸島でマラリア対策に従事。帰国後は巡回健診事業の会社に就職し、香港へ赴任。1999年にメディポートを設立し、健康診断・医療相談サービスを展開。香港の医師グループと提携し、地域の健康管理に貢献している。

香港在住日本人の健康のためのアドバイスをお届けします!
【第1回】間もなく岩牡蠣のシーズン!
生牡蠣を食べる習慣は欧米から
間もなく岩牡蠣の本格的シーズンが始まります。香港でも、値段は別にして美味しい牡蠣をいつでも食べられるのは嬉しいですね。ちなみに岩牡蠣は、冬場に旬を迎える真牡蠣に比べて粒が大きく、また天然ものが多いのも特徴です。
ところで牡蠣と言えば生牡蠣を連想する人も多いと思いますが、牡蠣を生で食べるという食スタイルはもともと日本にあったものではなく、欧米から明治時代に入ってきたものです。生食文化が昔からあった日本人でも生牡蠣を食べることはなく、反対に生魚を食することがなかった欧米人が、磯臭みが強い牡蠣を大昔から生で食べていたというのはちょっと不思議な気もします。


やっぱり心配なのが食中毒
さて、日本人にも生牡蠣好きは多いのですが、誰もが心配するのがノロウイルスによる食中毒。あたると相当辛い目に遭うので「覚悟して」食べる人もいるようです。牡蠣はプランクトンを餌としていますが、大量に吸い込む海水に含まれるウイルスもその体内に取り込まれてしまいます。牡蠣の体内でウイルスが増えることはありませんが、牡蠣が育つ中でその体内に蓄積してしまうのです。これを生体濃縮といい、A型肝炎ウイルスも同じです。欧米でも、その正体は不明であったものの、たまに起きる激しい食中毒に昔から悩まされていたに違いありません。
ノロウイルス感染症は運次第
生牡蠣は何個までなら食べても大丈夫というような迷信がかなり以前にありましたが、そのようなことは一切ありません。わずかなウイルス数でも感染発症する危険性があるノロウイルスのこと、たとえ1個だけでも運が悪ければ感染します。日本の生牡蠣は無菌処理をされているのでかなり安心ですが、もちろん100%の安全を保障できるものではありません。
ところで、生食用牡蠣と加熱用牡蠣を分けて売られていますが、この違いについてご存じでしょうか?カキフライを揚げるとしたら、さて、あなたはどちらの牡蠣を選びますか?
次回は日本の牡蠣の安全性と料理についてお話しします。
まとめ
- 岩牡蠣は真牡蠣より大粒で天然が多い
- 生牡蠣文化は明治時代に欧米から日本へ
- 牡蠣は海水中のウイルスを体内に蓄積
- ノロウイルス感染は少量でも発症の危険
- 生食用牡蠣と加熱用牡蠣は処理法が異なる
関連情報

