市販のクレイマスク30種類のサンプルを検査
泥や粘土でできたミネラル成分配合のクレイマスク(泥マスク)は洗顔では落としきれない毛穴汚れや角質を吸着し、肌のトーンアップが期待できる人気のクレンジング剤です。今回、香港消費者協会が市販のクレイマスク30種類のサンプルを検査し、その結果を2025年9月に発表しました。

30種類のサンプルは百貨店や美容関係の専門店で取り扱っているもので、販売価格は79~610香港ドルの幅があり、10gあたり5.3~122香港ドルで23倍の差があります。
30種類とも全体的に良好
結果は30種類とも全体的に良好でしたが、重金属の検査においては90%以上から様々な重金属が検出されました。30種類中28種類から1~3種類の重金属(ヒ素、カドミウム、鉛、アンチモンなど)が検出されています。
香料アレルゲンはその40%から検出され、メーカーには製品の安全性向上に積極的に取り組むよう呼びかけています。
30種類のサンプルのランキング(ブランド名/商品名/国別/市場価格)
総合評価5
- 1位 CHANEL/LE MASQUE CAMELLIA EXFOLIATING MASK/フランス/$590
- 2位 innisfree/Super Volcanic Pore Clay Mask/韓国/$135
- 3位 WATSONS/PORE CLEARING CLAY MASK/韓国/$79
- 4位 Pretti5/Mt. Fuji Clay Pore Perfecting Treatment Mask/日本/$480
- 5位 Sulwhasoo/Clarifying Mask/韓国/$320
- 6位 IPSA/LUMINIZING CLAY EX/日本/$360
- 7位 HARUHADA/Purifying Clay Mask/日本/$160
- 8位 La Roche Posay/EFFACLAR SEBO-CONTROLLING MASK/フランス/$260
- 9位 CLINIQUE/ All About Clean™ 2-in-1 Charcoal Mask + Scrub/アメリカ/$310
- 10位 The Body Shop/Tea Tree Skin Clearing Clay Mask/イギリス/$239
- 11位 Neogence/Mandelic Acid Cleansing Clay Mask/台湾/$190
<重金属>土に含まれる鉱物として重金属が混在
クレイマスクはミネラル成分を含む泥が主成分です。泥は土から採取されますが、土に含まれる鉱物には重金属が自然に存在しており、また産業汚染によっても地下水から土に重金属が流入します。そうした経緯から製品に重金属が含まれる可能性が高まります。
中国本土の「化粧品安全技術規範」ではヒ素、ニッケル、水銀、鉛等の重金属が化粧品への添加が禁止されています。しかし天然残留物由来の場合は上限があり、例えばヒ素は2㎎/㎏、カドミウムは5㎎/㎏等の範囲で定められています。ドイツ、アメリカでも同様に上限が定められています。
今回の調査結果によると、30種類のうち28種類のサンプルからヒ素、カドミウム、鉛、アンチモンなど1~3種類の重金属が検出されました。検出されなかったのは1.CHANELと5. Sulwhasooの2種類のみでした。
- ヒ素は、22種類のサンプルから検出され29.APIVITAと30.AROMATICAでは中国、アメリカで定める上限値を超えていました。
- カドミウムは、23.freshと27.AHAVAから検出されましたが基準値を満たしていました。
- 鉛は28種類のサンプルから検出され、30.AROMATICAのみ上限値を超えていました。
- アンチモンは、29.APIVITAから検出され中国本土では上限値が定められていませんが、ドイツの推奨基準値の範囲内でした。
重金属は短期間の使用による健康被害のリスクは低いと考えられますが、長期間使用すると皮膚から体内に蓄積していき、一定の濃度まで達すると健康に影響を与える可能性があります。傷や炎症などの皮膚疾患も重金属の暴露リスクを高め、一度体内に入ると継続的に蓄積されるので、メーカーには重金属濃度の低減が推奨されています。
<香料アレルゲン>禁止香料アレルゲンの使用はナシ
香料成分は化粧品やスキンケア用品に添加されます。香料はアレルギー性接触皮膚炎を引き起こす一般的なアレルゲンのひとつで、敏感肌や皮膚疾患がある人は特に刺激を受けやすい傾向があります。EU化粧品規制では26種類の香料アレルゲンが規制されています。
今回30種類のサンプルの4割から香料アレルゲンが検出されましたが、禁止されている香料アレルゲンは含まれていませんでした。12のサンプルからは1~5種類の香料アレルゲンが検出され、19.belief、21.Tatcha、26.Charlotte Tilbury、30.AROMATICAでは1~4種類の香料アレルゲンの含有量が0.01%を超えていました。
香港では化粧品への香料成分の使用は規制されていませんが、消費者委員会は製造元に対して最新の国際規制に注意を払い、禁止化学物質の使用を避け、製品のラベルには明確な成分情報を消費者に提供するよう推奨しています。
今回は防腐剤とサリチル酸の検査も実施し、サンプルから検出されましたが、それらの含有量は中国本土とEUの安全基準を満たしていました。
クレイマスクの使用は週1~2回程度が適切
クレイマスクを購入する際は、製品の成分などラベルの情報をしっかり確認し、高濃度のアレルゲンを含む製品はなるべく避けると良いでしょう。特にオイリー肌の方は、皮膚を洗いすぎると余計に皮脂の分泌を促す可能性があるため過度の使用は逆効果です。朝晩2回、低刺激のクレンジング剤で洗顔し、クレイマスクの使用は週1~2回程度が適切です。
まとめ
- 30種中28種から重金属を検出
- ヒ素・鉛が基準値超えの製品あり
- 香料アレルゲンは12製品から検出
- 禁止香料は不使用で安全性は良好
- 成分表示と使用頻度に注意が必要
- 使用は週1〜2回が肌に適切












