第3回:2025年 ボーナス・ダブルペイの実態と期待値
「もらえるはず」vs「現実」──香港の報酬制度に見るギャップ
香港で働く人々にとって、年末のボーナスやダブルペイ(13ヶ月目の給与)は、モチベーションや生活設計に大きく関わる要素です。JobsDBが発表した「HK Jobseeker Salary Report 2025」によると、約50%の労働者がボーナスを受け取っている一方で、期待値とのギャップも浮き彫りになっています。
実際にもらえているのはどれくらい?
レポートによれば、2025年にボーナスを受け取ったと回答した人の割合は以下の通りです:
📊 2025年 香港労働者のボーナス・ダブルペイ支給状況
- ボーナスのみ支給あり:30%
- ダブルペイのみ支給あり:18%
- 両方支給あり:20%
- なし:32%
業種別では、銀行・公共交通・不動産開発・管理が比較的高い支給率を示しており、逆に教育・飲食・サービス業(福祉・NPO)では支給率が低めです。
期待値とのギャップ
注目すべきなのは、「期待していたこと」と「実際に得られた結果」に差がある点です。2025年の正社員の昇給率は52%で、前年の57%から下がっています。ボーナスやダブルペイを受け取った人の割合も、2024年の73%から2025年は68%に減少しました。どちらも前年より低い数字です。
昇給やボーナスをもらえると期待していた人たちにとっては、こうした結果は「思っていたより少なかった」と感じるかもしれません。
若手世代の視点
20代の若手では、給料だけを重視しない傾向が見られます。景気の低迷による収入面の不安から、多くの人が悲観的な意見を持つ一方で、若手の中には今の仕事に安定感を感じていたり、前向きな考えを持っている回答があるのが特徴です。「やりがい」や「柔軟な働き方」なども、若手にとっては大切なポイントのようです。
ただし、給与制度のわかりやすさや納得感は、退職率や職場への満足度に大きく関わる重要な要素です。
まとめ
香港で働く日本人にとっても、ボーナスやダブルペイは気になるポイント。企業選びの際には、報酬制度の実態を見極めることが、長期的なキャリア形成において重要です。
- ボーナス支給は全体の50%に留まる
- ダブルペイ含む支給者は68%
- 昇給率は前年より5%減少
- 業種で支給率に大きな差あり
- 若手は安定感や柔軟性を重視
- 報酬制度の透明性が満足度に影響
HRエキスパート:e-Job Agency Limited 高橋 正浩 さんのコメント

香港の景気が良かった時代、業績のよい企業ではボーナスが年に数回支給され、1回の支給額も月給の数ヶ月という状況もありました。ところが、最近の香港は景気全体的に勢いがありません。企業は思うように業績を上げられない場合、何とか月給1ヶ月分のボーナスを支給するのがやっとであり、企業の中にはボーナスの支給は見送りという状況もあるようです。
今回のテーマは「ボーナス・ダブルペイの実態と期待値」ですが、企業担当者と求職者それぞれの視点で考えてみましょう。
企業担当者の視点
企業の業績が厳しい状況でボーナスを出しにくい場合でも、よい人材を採用し、よい人材の退職を防ぐには、ボーナスやダブルペイ以外の条件を検討することをおすすめいたします。
求職者も転職に際してあまり大幅な給与アップを期待していないため、企業に求めるのは「福利厚生」、「安定」、「働く環境」などです。
求職者は企業からのオファーを全体パッケージ(基本給だけでなく、福利厚生など)で検討します。福利厚生の中で特に初年度の有給休暇日数については非常に関心が高いため、日数が少ないと思われる場合は検討が必要でしょう。
求職者の視点
企業選びには、報酬制度の実態を見極めることが重要です。
企業との面接の際、実際にボーナスは月給の何ヶ月分が支給されているかを直接聞くことは難しいでしょう。
企業が過去に支給した業績賞与の平均は月給の何ヶ月分か、企業文化、職場環境などを把握するには人材紹介会社を活用することをおすすめいたします。
香港での人材採用または仕事探しに関してはどうぞお気軽にお問い合わせください。


ボーナスは社員にとって生きる喜び!
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次回は、香港で働く人々のリアルな声に迫ります。転職理由、失業中の活動、そして求職者の心理とは?











