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【第2回】HKジョブマーケット最前線:2025年版給与レポート徹底解説

目次

第2回:2025年 香港の業種別給与上昇率とスキル需要

「あなたの業界、伸びてる? 停滞してる?」

香港の労働市場では、業種によって給与の上昇率に大きな差が見られます。「HK Jobseeker Salary Report 2025」の回答集計データをもとに、主要業種の給与トレンドとスキル需要を図表とともに紹介します。

業種別:給与増加回答の比率(2025年)

業界増加回答率
教育70%
マーケティング・ブランディング62%
情報技術(IT)60%
銀行54%
マーチャンダイジング・購買53%
物流・運輸51%
エンジニアリング48%
法務・コンプライアンス46%
カスタマーサービス46%
ホスピタリティ・観光49%
金融37%
医療サービス26%

業種別の傾向と背景

  • IT・エンジニアリング:デジタル化と技術革新の波に乗り、給与上昇率はトップクラス。AIやクラウド関連職が特に高評価。
  • 金融・銀行:安定性と専門性が求められる分野。専門性が求められるため報酬水準は相対的に高止まりの傾向。
  • ホスピタリティ・観光:観光業の回復に伴い、給与も上昇。多言語対応や接客スキルが評価される。
  • 教育:人材流出懸念もあるが、給与上昇の回答率はトップクラス。
  • 法務:給与上昇は控えめながら、安定した雇用が見込まれる分野。
  • マーケティング・ブランディング:SNS運用、デジタル広告、データ分析スキルが求められ、給与も上昇傾向。
  • 物流・運輸:越境ECやサプライチェーンの再構築により、需要が増加。倉庫管理や輸送計画の専門性が評価される。
  • 医療サービス:専門職は安定した需要が継続。

採用市場の流れと一般的なスキル要件

業種求められるスキル
ITプログラミング、クラウド、AI、セキュリティ
金融財務分析、リスク管理、FinTech知識
教育バイリンガルレベルの言語スキル、教育ツール活用
ホスピタリティ多言語対応、接客マナー、予約管理
法務契約レビュー、コンプライアンス、英語力
エンジニアリングCAD、品質管理、プロジェクト管理
マーケティングSNS運用、SEO/SEM、データ分析、ブランド構築
医療サービス医療資格、医療IT、患者対応、多言語力
物流・運輸倉庫管理、輸送計画、ERP・WMSシステム、国際貿易知識

今後3カ月以内の転職計画動向

給与だけでなく、成長性・働き方の柔軟性・スキルアップの機会も重要な判断材料です。業種ごとの特徴を理解し、自分に合ったキャリア選択を考えることが、香港での成功につながります。

48%のフルタイム従業員は、現給与が市場水準より低いと感じつつも、「景気の不安定さを理由に現職を維持したい(34%)」があり、現職にとどまる選択。その他、現職に留まる理由の上位項目は「現在の業務量や労働時間に満足している(37%)」「上司・同僚との関係が良好(37%)」が挙げられています。

今回の回答者の31%は、今後3カ月以内に転職する予定はないとし、2024年調査の29%から少し上昇しています。

HRエキスパート:JH Partners 杉本光弘さんのコメント

本調査は、2025年1月31日から3月12日にかけて、約2,000名を対象に実施されたものです。あくまで参考情報のひとつとして捉え、活用されることを推奨いたします。

以下を含め、連載企画にてこれから三回にわたり、私自身の過去から現在に至る経験、リサーチによる知見を踏まえた情報をお届けし、皆様の意思決定や行動の一助となる事を願って、寄稿させて頂きます。

【企業担当者へのアドバイス】

優秀な人材の獲得や定着のためには、必要な情報を絞って、実際に競合となる企業の水準の調査等を行ったうえで、自社の戦略に落とし込んで頂ければと思います。

本稿のデータでも示されている通り、市場の変化は非常に速く、給与水準も年々上昇しています。業界動向や競合情報を常に把握しながら、優秀な人材の獲得や定着に向けて、待遇・キャリアバス・働き方の柔軟性などを、先手を打って提示していく必要があります。

【求職者へのアドバイス】

コロナ禍が明けて以降、売り手市場となり、給与相場が上昇したことで、昨年後半には企業と求職者が希望する給与水準にギャップが生じ、採用決定に至らないなど、選考が停滞するケースが多く見られました。今年に入り状況は改善されつつありますが、中国からの優秀な人材の流入なども影響し、企業側の給与に対する求める水準は高まっております。

そのため、単一スキルではなく「〇〇✕〇〇」のような複合スキル、即戦力人材である(実績がある)事、他の人やAIで代替できない強みなど、企業に費用以上のメリットをいかに提示、供給できるかが重要になってきている事をふまえた準備が必要になります。

まとめ

  1. 業種別で給与上昇率に大きな差
  2. IT・教育分野は上昇率が高い
  3. 医療・法務は安定性重視の傾向
  4. SNSやAIなどのスキルが重要
  5. 転職判断に柔軟性や成長性が影響
  6. 31%が3カ月以内の転職予定なし

上手く時代を読みながら、自分だけのキャリアを追求しよう!

次回は、ボーナスやダブルペイの実態について詳しく紹介し、報酬の「もうひとつの側面」に迫ります。

前回のコラムはこちらから!

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この記事を書いた人

香港大好き20余年。マラソン超遅ランナー

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