メディポートCTO 堀眞
藤田医科大学卒の臨床検査技師。日本医科大学付属病院で勤務後、青年海外協力隊としてソロモン諸島でマラリア対策に従事。帰国後は巡回健診事業の会社に就職し、香港へ赴任。1999年にメディポートを設立し、健康診断・医療相談サービスを展開。香港の医師グループと提携し、地域の健康管理に貢献している。
【第8回】お酒とダイエット
最近の若いもんは酒を飲まなくなったと嘆く呑兵衛のオジサンの声を聞いたことはありませんか。統計の取り方にもよりますが、確かに20歳代の飲酒率は低くなっているようです。しかし詳しく分析すると、最近は若い女性の飲酒率が高くなっているのも特徴です。
平成元年と令和元年の「習慣飲酒率」の比較では、男性の平均「習慣飲酒率」は51.5%から33.9%と減っており、特に20歳台の減少が顕著。対して、女性の令和元年の「習慣飲酒率」は8.8%と、男性に比べて大きく下回るものの、増加傾向です。
女性の社会参加率が高くなっていることや、居酒屋などで提供される甘いカクテルなどの種類が増えていることも理由かもしれません。ところで、お酒は太るともいわれますが、実際のところはどうなのでしょうか?
お酒は太る?エンプティカロリーとは

お酒を飲むと太るというのは、正しくもあり間違いでもあります。少なくともウイスキーなどアルコール度が高いお酒は太るというのは正しくはありません。
カロリー計算される数字には、アルコールのエネルギー量(約7kcal)が加わるので、アルコール度が高いお酒のカロリーは高くなるのは当然です。ところがこのカロリーはエンプティカロリーと呼ばれて、体内には残らないものなので、これだけでは太る要因にはなりません。
例えば糖質を含まない蒸留酒(ウイスキーや焼酎など)の実質的カロリーはゼロです。
太ってしまう本当の理由
では、なぜお酒で太ると言われるのでしょうか?結論からお話しすると、それは単純に食べ過ぎだからです。
お酒だけを飲んでいる人はほとんどいませんね。会食ともなると長時間の飲食が伴います。その一方で飲酒中であっても肝臓ではアルコール(エチルアルコール)をせっせと分解しており、その過程でグルコース(血糖)から中性脂肪を生み出しています。
つまり血糖値の上昇が抑えられて、食べている割には満腹感が得られにくい状況なのです。締めのラーメンが美味しい理由がここにあります。
飲酒量と食べる量
お酒を飲んでいるとダイエットできないかというと、必ずしもそうとも言えません。お酒の性質を理解したうえでたしなめば良いかと思います。
ただしダイエットが云々という前に、基本的に飲み過ぎないこと。飲酒量と体重増加が比例しているように見えても、それは食べ過ぎであるとの自覚が大切なので、食べる量やその中身についての見当も必要です。お酒を飲む時くらいは体重のことは忘れたいものですが…。

バランスを見直し、上手にお酒と付き合いましょう!
まとめ
- 若者の飲酒率は低下傾向にある
- 若い女性の飲酒率は上昇中
- 高アルコール酒は太りにくい
- エンプティカロリーは体に残らない
- 飲酒で満腹感が得にくくなる
- 太る原因は食べ過ぎにある
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