メディポートCTO 堀眞
藤田医科大学卒の臨床検査技師。日本医科大学付属病院で勤務後、青年海外協力隊としてソロモン諸島でマラリア対策に従事。帰国後は巡回健診事業の会社に就職し、香港へ赴任。1999年にメディポートを設立し、健康診断・医療相談サービスを展開。香港の医師グループと提携し、地域の健康管理に貢献している。
【第3回】若い女性に増える骨粗しょう症
30歳代女性に骨粗しょう症が増えている!?
骨粗しょう症は骨が弱くなり骨折しやすくなる病気です。特に女性の閉経期以降にホルモンの関係で起きやすいものであり、一般的にはお年寄りの病気だと思われています。若い人には縁のない病気のように思われていますが、どうも最近はそれには該当しないケースが増えているようです。それも30歳代の日本人女性に多いというのです。いったい何が起きているのでしょうか。
若い人の場合はビタミンD不足が一因
骨の形成にはビタミンDが必須であり、このビタミンが不足するとカルシウムをいくら摂っても骨がスカスカになって折れやすくなってしまいます。高齢者の場合はエストロゲンの減少が骨粗しょう症のリスクを高めますが、若い人の場合はビタミンD不足がその原因となりやすいのです。
紫外線不足で「くる病」を発症する子供も
このビタミンDは紫外線の力をかりて皮下でつくられますが、過度な日焼け予防で紫外線不足になるとビタミンDが十分に合成されず、骨の形成に大きな支障となるのです。「肌は白い方が美しい」「日焼けはお肌の大敵、シミの元」という強い思い込みから、過度な紫外線対策に走るのは危険です。そのような考え方の親を持つ子供も徹底的に日焼け対策をされて、「くる病」を発症してしまうケースも散発しているそうです。
過度な紫外線対策は控えて
確かに紫外線は有害ですが、これも程度問題です。中緯度地方に住む日本人には薄褐色の肌色が好ましいのです。
紫外線が少ない北欧の人々の肌は透き通るような白色ですが、これは紫外線量が少ない高緯度地方で効率的に紫外線を吸収するための肌の色であり、その地方に適応しているのです。反対にアフリカ系の人々などは強すぎる紫外線から体を守るために、黒い肌の人が選択的に生き延びてきたわけです。
一時ほどではないにしてもより白い肌を求める意識は女性にまだ根強いようです。紫外線から身を守ることも大切ですが、やり過ぎると健康を害してしまうことにもなりかねません。ダイエットも同じですが、極端に走るとせっかくの健康を脅かし本末転倒です。
まとめ
- 30代女性の骨粗しょう症が増加傾向にある
- ビタミンD不足が若い人の骨粗しょう症要因
- 過度な紫外線対策がビタミンD合成を妨げる
- 日焼けを避けすぎるとくる病のリスクが上昇
- 紫外線は適度に浴びることで健康維持に重要
- 極端な美容・健康対策は逆効果となる恐れ

紫外線とは、程よいお付き合いを心掛けよう!
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