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【経済コラム】香港Eコマース市場の最新動向2025

目次

EC市場が右肩上がりで活況

世界的に急成長しているEC( eコマース)事業は、香港でも活況で、様々な国のECサイトが集中するEC激戦区となっています。香港のEC事情について、最新の情報をまとめます。

まず香港のEC市場についてですが、香港は大都市で交通の便もよく、世界中のあらゆるブランド店が集まっているなど、実店舗が充実しているので、身近で入手できる物に関してはECを利用する必要性がありません。

ではなぜ香港のEC市場が右肩上がりで活況なのでしょうか。その理由として香港は一人当たりのGDPが高く、購買力のある消費者が多いこと、スマホの普及率が高くインターネット環境が充実していること、トレンドに敏感で新しいものが好きなこと、日本など海外の製品に関心が高いこと、共働き世帯が多く移動中にショッピングができることなどが挙げられます。また香港ではキャッシュレス決済も広く普及しており、ECの決済は電子マネーとクレジットカードによる決済が9割を占めています。

参考データ

香港のEコマースの現状(2024年11月 PCMIレポート)

💰 市場規模と成長

  • 2024年の香港Eコマース市場規模見込み254億米ドル
  • Eコマースが小売全体に占める割合9%
    • (前年比7% → 9%へ上昇)
  • 小売Eコマース収益見込み(2024年)98億米ドル

🌐 利用状況と普及

  • 香港の人口の98% がインターネット利用者。
  • オンライン購入経験者(過去1年):56%
    • (香港のインターネットユーザーのうち)

👤 香港オンラインショッパーの特徴

  • 1人あたり年間平均支出(2024年予測)89米国ドル
    • (約680HKドル、約13,700円)
  • 約3分の1の買い物客(33%)越境EC(海外サイトでの購入)を経験。

🛍️ 人気の購入カテゴリ(女性消費者調査より)

  1. ファッション製品 👗
  2. 家具・家庭用品 🛋️
  3. 食料品 🛒

📱 モバイル活用

  • 10人中4人モバイルデバイスでの購入 を3か月以内に経験。

出典: Payments & Commerce Market Intelligence (PCMI)
資料タイトル: The Current State of E-Commerce in Hong Kong
発表: 2024年11月

主要なECサイトとその特徴

香港には多くのECサイトがあり、香港ローカル向け、中国本土向け、海外向けなど、異なる特徴を持つサイトが用途によって使い分けられています。まずは香港の主要なECサイトとその特徴をご紹介します。

HKTVmall

https://www.hktvmall.com

香港最大のECサイトで、香港在住者向けです。HKTVという名の通り当初テレビ放送事業を予定していましたが、認可が下りなかったためEC事業を始めました。日用品や食料品から、家電、アパレル、化粧品など、様々な品物を取り扱う、香港で最も加盟店が多いECサイトです。自社トラックによる配送網も充実しており、香港内であれば配送は当日~翌日と大変スピーディです。また香港各地に実店舗が多数あるため、ネットで注文した商品を店舗で受け取ることも可能です。キャンペーンやクーポン、ポイント還元などもあり、上手く利用すればお得に買い物ができます。

Taobao(淘宝)

https://world.taobao.com

アリババが立ち上げた中国本土のECモールです。ロジスティクス面では郵便局、コンビニ、地域の運送会社と提携しており、広大な中国で配送網の充実が利点です。香港向けの配送には2種類あり、1つ目は出品者が香港へ直接配送する方法で送料が高め、2つ目は深圳など中国本土の中継倉庫にまとめてから配送する方法で送料は1つ目に比べると格安です。同時に複数購入する場合は中継倉庫でまとめるとコスパが良く、まとめ買い割引もあります。

Carousell Hong Kong

https://www.carousell.com.hk

シンガポールで創業された個人や小規模事業者向けの売買マーケットプレイスのウェブサービスです。日本のメルカリのような存在で、スマホひとつで、中古品を個人間で売買できるようになっています。香港では特におもちゃが多く取引されています。中古品の売買は環境・サステナビリティの観点からも注目されており、若い人を中心に利用されています。ただし個人間でのやり取りになるため、詐欺なども多発しており、度々ニュースになっているので利用に際しては細心の注意が必要です。

Tmall Global(天猫國際)

https://www.tmall.hk

アリババグループの越境ECモールです。中国本土に拠点を持たない海外ブランドなどが、中国国内の消費者に向けて出店するのが基本モデルです。日本の企業など、Tmall Globalを通じて中国市場にスムーズに参入することができます。ショッピングで利用する際は「中国本土向け」「香港専用」「海外配送可」など配送可能エリアの確認が必要です。

Price.com

price.com.hk

香港を拠点とする価格比較・購買支援を兼ねたECモールです。特に家電、スマホ、パソコン、日用品などを中心に、複数の店舗やオンラインショップの価格を一覧で見られるようになっています。価格の他にも商品レビューを参考にでき、在庫の所在を確認することもできます。家電やパソコンなど電子機器を多く扱っているため、安さだけではなく正規品か、保証の有無などを確認して、目的に応じた製品を購入するようにしましょう。

越境ECが大きな割合を占める

香港のECは、越境ECがかなり大きな割合を占めており、オンライン販売の55%を越境取引が占めています。香港製ブランドは中国本土で一定の信頼と評価を得ていることから、香港発の海外向けモデル拡大は今後さらに成長の余地があります。

また香港は自由貿易港のため、香港への輸入と香港からの輸出に税金がかかりません。ただし次の4点、タバコ類、炭化水素油/ガソリン、メチルアルコール類、アルコール度数30%以上の酒類については、香港輸入時に課税対象となります。香港はもともと貿易、物流のハブであり、越境ECでも税金と物流のシステムが有利に働きます。

輸入関税を始め、関税に注意!

一方、中国本土には「跨境電商/Cross Border E-Commerce Retail Import」という制度があります。個人向けに海外から中国本土へ輸入される商品に対し、特別な税務・通関の枠が設けられています。免税関税(輸入関税0%)があり、VATや消費税は法定税額の70%という軽減措置が適用されます。適用限度は1回の購入で5,000元以下、同一人で1年の上限が26,000元となっています。

商品がこの枠に該当しなかったり、1人あたりの限度を超えたりすると、輸入関税+VAT+消費税が課されることがありますので、ECを始めるにあたってよく確認することをお勧めします。

まとめ

  • 香港EC市場は254億米ドル規模
  • 越境ECがオンライン販売の55%
  • EC決済の9割が電子マネー・カード
  • 人気カテゴリはファッション・家具
  • モバイル購入経験者は4割超
  • 香港発ブランドは中国で高評価

(記事提供:H.S. Planning 2025年10月31日掲載コラム

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この記事を書いた人

広東語が好き、おうちで香港料理に挑戦中。

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