【第10回】香港の火災事情と安全に過ごすための火災対策
香港の街は高層ビルが立ち並び、活気あふれる場所、そんな中で火災のリスクは意外と身近にあります。特に、高層ビルの密集した環境では、火災が起これば煙が急速に広がりやすく、逃げ遅れの原因になることが多いです。
香港では火災の発生件数が増加傾向
近年、香港では火災の発生件数が増加傾向にあり、2024年には2023年の36,086件から4.8%増の37,828件の火災出動が記録されております。
🔥 香港消防処 2025年主要統計(抜粋)
火災・救助・救急関連の出動件数

電気系統の故障や調理中の過熱が主因で、都市部での密集火災が増加。消防出動も増加しています。(香港消防処 統計資料より)
2025年に入っても、Tin Shui Waiの倉庫火災、Causeway Bayのショッピング街での火災、Pat Heungの山火事、政府本部での火災など、さまざまな火災が発生しており、注意が必要です。
今年発生した火災詳細
- 2025年5月23日、香港政府総部西翼の特首政策組辦公室で電線から煙が発生し爆発音が確認された。消防が出動し、30人が避難したが負傷者はなし。
- 2025年6月12日、銅鑼湾のサービス式住宅の地下店舗で火災が発生。爆発音と濃煙が街を覆い、7人が自主避難。消防が約1時間で鎮火し、けが人なし。原因は電源タップのショートとみられる。
- 2025年8月27日、天水圍廈村路の物流倉庫で大規模火災が発生。火場面積は約200×200m、温度は550度に達し、140人が避難。消防員と倉庫職員の2名が病院へ搬送され、犬5匹も無事救出された。
在香港日本国総領事館発行の「香港安全の手引き」
在香港日本国総領事館発行の「香港安全の手引き」では、火災対策について具体的にアドバイスされていますので、それを基に、皆さんの日常に役立つポイントをお伝えします。
火災が起きてしまったら
火災が起きてしまったら何より「落ち着くこと」が重要です。パニックになってからだと判断が鈍り、逃げ道や消火器の位置を確認するのが難しくなります。そのために事前チェックが大事です。事前にビル内事務所やホテルフロントで火災時の誘導システム、避難口の場所や消火器の位置を確認しておきましょう。火事では暗闇や煙の中を這って進む可能性があり、こうした確認は欠かせません。
部屋の鍵は常時携帯!
その他香港における具体的な対応策として、部屋の外に出る際はオートロックされないよう部屋の鍵を持って出ましょう、周囲の状況次第で部屋に戻る必要が出てくることがあり、締め出しを防ぐためにも大事です。
煙が入ってきたら、窓を閉める!
ドアノブに手を当てて熱くなっていたら、絶対にドアを開けないでください。煙が入ってきたら、窓を閉めて空気の入れ換えを調整し、窓を壊さないように注意。高層ビルの火災では密閉空間が多いため、煙による死亡事例が特に多いです。
煙を吸い込まない工夫を!
ビル火災での煙対策としてはシンクや風呂場に水をため、扉や窓の隙間をタオルで埋めたりするのが効果的です。口と鼻を湿らせた衣服で覆い、体勢を低く保ちながらレスキュー隊を待ちましょう。
状況によっては濡れたタオル等を振って自分の居場所を知らせるのも大事です。エレベーターは絶対に使わず、階段を使って避難するのが基本です。
なぜ香港に火事が多いの?
火災が増加している背景には、季節によって乾燥した気候、老朽化した建物、気候変動によるヒルファイヤーの増加などが影響している可能性があります。火事の脅威を日頃から家族や職場で話し合っておくと良いでしょう。
皆さんの安全は自分自身で守るものですが、ストレスが溜まらない程度に、こうした対策を習慣づけて安全な香港生活を送りましょう!
まとめ
- 香港の火災事情:乾燥・老朽化・山火事が原因。
- 火災の特徴:高層ビル密集で煙が広がりやすい。
- 基本対応:事前に逃げ道・消火器を確認する。
- 火災対策:鍵を持ち、オートロックに注意。
- 火災対策:熱いドアは開けず、隙間をタオルで埋める。
- 煙対策:低姿勢、レスキューを待ち居場所を示す。階段で避難。
- 家族と対策を話し合い安全確認を習慣化しましょう

電源タップなどご自宅の火事の元も確認しましょう!
<著者プロフィール>
Mr. イワミ
香港とアジアの文化に携わりながら、警備のプロとして安全を守る仕事をしています。施設やイベントの特性に合わせたセキュリティ計画を立て、リスクを未然に防ぐことに力を入れています。日本のきめ細やかな視点とグローバルな感覚を活かし、現場から管理まで堅実に対応。仕事の合間には街を歩いて周囲の状況を観察したり、新たな改善点を見つけたりしています。あなたの安全と目標を一緒に守るパートナーになれれば嬉しいです。

