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【MPF相殺制度が廃止】雇用者・被雇用者が取るべきアクションは?

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2025年5月1日からMPF相殺制度が廃止

5月1日よりMPFの制度に新たな変化があります。

これまで香港では、年金制度「強制積立年金制度/ Mandatory Provident Fund/略称MPF」の積み立て分から従業員の退職時に雇用主が支払う退職金「解雇補償金/Severance Payment/略称SP」「長期服務金/Long Service Payment/略称LSP」を差し引く「相殺」が可能でした。

このMPF相殺制度が廃止となる新制度が2025年5月1日より施行されます。

雇用者と被雇用者で意味が大きく違う!

そこで、My Hong Kong 編集部 では、MPF仲介資格をもつ平原奈津子さんに、雇用者と被雇用者、それぞれ取るべきアクションについて伺いました。

被雇用者はメリットが増え、雇用者は備えが必要

My Hong Kong 編集部:今回の相殺禁止は、雇用者、被雇用者で意味あいが大きく違いますね。

平原さん:はい、MPFと法定退職金は目的が違うのだから、本来別々に支払われるべきだとして改正されたもので、被雇用者の権利を守った形です。

当面は補助金によって改正による雇用者負担は軽減されますが、雇用者側は将来を考慮した資産形成を行う必要があるでしょう。

My Hong Kong 編集部:では、それぞれに向けて、メッセージをお願いします。

雇用者が取るべきアクションは?

MPFのVoluntary Contributionは相殺可能

まず、MPFの相殺禁止は、2025年5月1日以降勤務分について適用ですので、それ以前の勤務分は従来通り相殺できます。

また、2025年5月1日以降も、MPFのVoluntary Contributionは、解雇金の相殺に充当できます。Voluntary Contribution(VC)とは、MPF強制積み立ての5%以外に、福利厚生として、従業員に余分にMPFを積み立ててあげることです。VCも経費として、計上可能です。

補助金の適用スケジュールを把握しましょう

補助金は、雇用主が従業員に支払うSP(法定退職金)/ LSP(長期サービス金)に対して適用されます。年ごとの支給額に応じた補助率が設定されています。

この補助金制度により、雇用主は退職金や長期サービス金の負担を軽減し、政策変更後の財務的な影響を抑えることができます。

25年間の補助金制度の詳細は、以下の資料の通りです。

以上の制度を適用した場合の事例を見てみましょう。

2025年5月1日以降の最初の3年間は、1年間の解雇金支払いのTotalの中で会社持ち出しは、HKD3,000が上限です。

以降、2028年~2031年までは、HKD 25,000が上限。2032年~2034年までは、HKD 50,000が上限。2035年以降、1年間の解雇金支払いのTotalの中で、会社持ち出しは、80% から85、90、95%と徐々に増えていき、2050年5月1日以降には、補助金制度がなくなるので、全額を雇用主が支払うようになっていきます。

<参考資料>
REFINEMENT OF GOVERNMENT SUBSIDY SCHEME FOR THE ABOLITION OF THE “OFFSETTING” ARRANGEMENT UNDER THE MANDATORY PROVIDENT FUND SYSTEM

被雇用者が取るべきアクションは?

SP(法定退職金)/ LSP(長期サービス金)は、本来、長期に働いた方に対して、定年後に受け取るべきお金です。

転職を重ねるたびにもらえることにはなりますが、臨時収入と思って消費してしまうと、資産形成が進みません。将来のためのお金を前倒しでもらうものと思って、運用などをしていただければと思います。

退職金は大切に運用しよう!

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この記事を書いた人

香港大好き20余年。マラソン超遅ランナー

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